横浜市立大などの研究チームは20日、脳の働きを支える重要な分子「AMPA受容体」を生きた人の脳内で可視化することに成功したと発表した。同受容体はうつ病やてんかんなどとの関連が指摘されているが、生体内で可視化する技術がなく、臨床応用は進んでいなかった。論文は米医学誌ネイチャー・メディシンに掲載された。
 神経細胞同士が接するシナプスでは、発信側細胞から分泌されるグルタミン酸などの神経伝達物質が、受け手側の受容体と結合して情報が伝わる。AMPA受容体はグルタミン酸の主要な受容体で、多くの機能や疾患に関わることは基礎研究で分かっていたが、生きた人の脳内での観察は難しかった。
 横浜市大の高橋琢哉教授らは、AMPA受容体だけに結合する分子に放射性同位元素を付けた陽電子放射断層撮影(PET)用の化合物を開発。安全性を確認した上で、健常者とてんかん患者に投与したところ、患者の病巣部に同受容体が多く集積している様子が見えた。
 高橋教授は「可視化により根拠のある診断や治療法の開発につながると期待している」と話している。 (C)時事通信社