ホウ素を含む薬剤をがん細胞に取り込ませて中性子を照射し、ホウ素から出る粒子でがん細胞を殺す「ホウ素中性子捕捉療法」(BNCT)で、東工大などの研究チームは22日、液体のりの主成分を加えた薬剤で治療効果を大幅に向上させたと発表した。成果は同日付の米科学誌サイエンス・アドバンシズに掲載された。
 BNCTは、がん細胞が取り込みやすいアミノ酸にホウ素を結合させた化合物(BPA)を注射し、蓄積させた上でエネルギーの低い中性子を照射する。中性子を浴びたホウ素から殺傷力の高いアルファ粒子が放出され、がん細胞を殺す。他の細胞を傷つけず副作用が少ない治療法として期待されるが、一層の効果向上にはBPAががん細胞内にとどまる時間を長くする必要があった。
 東工大の野本貴大助教らは、液体のりの主成分ポリビニルアルコールをホウ素に混ぜることで、BPAが連なった構造の新薬剤を開発。がん細胞への取り込まれ方が変わり、排出されにくくなった。
 皮下にがん細胞を移植したマウスを使った実験では、従来のBPAに比べ、がん細胞内の集積量や滞留時間が増加。中性子の照射後、がん細胞が消失するなど、根治に近い効果がみられた。 (C)時事通信社