東京五輪・パラリンピックが開かれる今年は、4000万人以上の外国人客が日本を訪れる見通しで、海外から持ち込まれる感染症の流行リスクが高まる。年明けから新型コロナウイルスによる肺炎が中国を中心に拡大しているが、その他の感染症にも注意が必要だ。五輪開催を半年後に控え、政府は大会期間中の集団発生など、最悪の事態に備えた対策を進めている。
 国立感染症研究所は拡散力や集団感染の危険性などを検討した結果、五輪で注意すべき感染症として、はしか(麻疹)、侵襲性髄膜炎菌感染症、中東呼吸器症候群(MERS)、腸管出血性大腸菌感染症を挙げている。
 はしかはフィリピンなどで流行している。日本は2015年、世界保健機関(WHO)からはしかの排除状態にあると認定されたが、海外からのウイルスによる集団発生はその後も相次いでいる。
 侵襲性髄膜炎菌感染症は15年に山口県で開催されたボーイスカウトの国際イベントで、スコットランドなどの参加者4人が感染。昨年のラグビーワールドカップ後にも1例報告された。日本感染症学会は「日本ではまれだが、注意しなければいけない感染症の一つだ」と指摘する。
 政府は水際対策に加え、五輪選手らの事前キャンプ先の自治体と連携を強化。大会関係者に対するはしか・風疹混合ワクチンの接種を進めている。感染症学会もボランティアらに、はしかや髄膜炎菌など7種のワクチン接種を推奨する。
 致死率の高いエボラ出血熱やクリミア・コンゴ出血熱などについては、厚生労働省が昨年9月、危険度の高い病原体を扱える施設「BSL4」に生きた病原体を輸入。患者発生時の検査体制の精度向上を目指している。
 中国で広がる肺炎が大会に与える影響も懸念される。厚労省の担当者は「感染拡大の状況によっては、五輪に向けた追加対策が必要な可能性がある」と警戒を強めている。 (C)時事通信社