最高裁の司法研修所で昨年10月に行われた刑事裁判官の研究会で、性犯罪の被害者を講師に招き講演を開いていたことが25日、分かった。性犯罪被害者の心理について知見を深める目的で実施され、被害者本人を招いたのは初めてとみられるという。
 最高裁によると、研究会には全国の地、高裁で刑事裁判を担当する裁判官57人が参加。性犯罪被害を受けた女性と、裁判で代理人を務めた上谷さくら弁護士が講演した。
 上谷弁護士によると、女性は30代だった2010年、東京都内で顔見知りの男性から強姦(ごうかん)未遂の被害に遭った。事件から起訴まで1年以上かかり、男性は公判で否認。一審で実刑とされたが、二審で執行猶予付き有罪とされ、確定した。
 講演で女性は、事件の様子を自身で再現させられたり、同じ話を何度もしたりしたと振り返り、「被害を再び体験するようで、つらかった」などと語ったという。
 上谷弁護士は「性犯罪では、山のように不起訴事案があり、警察に行けない人さえいる。裁判所にたどり着くのはごくわずかだということを裁判官に分かってほしい」と話した。
 取り組みの背景には、性犯罪を厳罰化する改正刑法が17年6月に成立した際の国会の付帯決議がある。決議は「性犯罪に直面した被害者の心理などについて研修を行うこと」を最高裁に求めており、これまでも支援を行う臨床心理士らを講師に招いたという。
 昨年3月には、各地の地裁で性犯罪事件の無罪判決が相次ぎ、裁判所の判断に批判が集中した。このうち実子に対する準強制性交事件など2件の控訴審判決が、今年2月と3月に福岡と名古屋の高裁で予定されている。 (C)時事通信社