中国で新型コロナウイルスによる肺炎が広がる中、専門家は「人から人に感染する力がどの程度か、見極めが必要だ」と指摘している。感染力が弱ければ封じ込めも可能だが、強ければ世界で流行を引き起こす恐れが否定できないためだ。
 中国ではウイルスが人から人へ次々に広がっている様子が明らかになってきた。ただし国立国際医療研究センターの忽那賢志医長は「感染しているのは、家族や医療者など患者に密に接する人。人から人へ感染する力は限定的だろう」と話す。日本のほかタイや韓国、欧米でも患者の入国・帰国が続いているが、感染が広がる前に把握して治療できており、中国の外で流行する可能性は高くないとみる。
 一方、押谷仁・東北大教授は、武漢市が交通機関の運行を停止したものの、既に武漢を出た人や今後出る人が相当おり、当面中国で感染拡大が続くと予測する。2002~03年に中国から広がった重症急性呼吸器症候群(SARS)では、一部の患者が多くの人に感染を広げる現象が見られた。押谷教授は今回も同様の現象が起き、世界に流行が広がる可能性を考慮して、対策を取るべきだと言う。
 一方、世界保健機関(WHO)の23日時点の集計では、感染者の死亡率は3~4%。SARSの約10%を下回っており、今後さらに下がる可能性がある。
 国内の対策について、忽那医長と押谷教授は「入国・帰国した感染者を早期に発見し、感染を広げないことが重要」との見解で一致する。患者は身近な医療機関を受診する可能性が高い。医療者は熱やせきの症状がある患者に対し、感染の可能性を念頭に置いて武漢など中国滞在歴を聞き取ることが重要という。
 一方、国内で通常の生活を送る人が感染する可能性は低い。忽那医長は「手洗いなど、日ごろの感染症対策を丁寧に行えば十分だ」と冷静な対応を呼び掛けた。 (C)時事通信社