【北京時事】取り残された日本人を退避させるため日本政府が28日にチャーター機を送った中国湖北省武漢市では、新型コロナウイルスによる肺炎患者と死者の増加が止まっていない。一方で、市の当局者からは情報公開をはじめとする初動の遅れの責任を国に転嫁する異例の発言が出るなど、中国当局の足並みの乱れも露呈している。
 中国国内の患者数4600人超、死者106人のうち、武漢市の患者は前日比892人増の1590人、死者は22人増の85人で、国内最悪の状態が続く。
 李克強首相は27日、中国指導部として初めて武漢入りし、支援を約束。国家衛生健康委員会は28日の記者会見で「きょう中にはさらに13の医療チームが武漢に到着し、合計6000人近い応援態勢が整う」と強調した。市内では、コンテナを利用したプレハブ式の病院2カ所の突貫工事も進んでおり、1万3000人を隔離治療できるめどが付いたとしている。
 しかし、香港大の梁卓偉医学院長は武漢の患者数に関し「春節までに既に2万5000人、発症していない感染者を含め4万4000人」との推計を公表。実際の患者数は誰も把握できないのが実態だ。
 武漢市はウイルスを国内外に拡散させた「加害者」の側面も持つ。しかし、周先旺市長は国営中央テレビのインタビューで、情報公開について「伝染病に関し地方政府は国から権限を委託されて初めて公開できる」と述べ、国の判断の遅れを示唆。23日から市外との交通を遮断した「都市封鎖」をめぐっても「全人類への貢献だ」と胸を張る一方、「既に500万人余りが市を離れた」と明らかにし、実効性に疑問を生じさせた。
 習近平国家主席は28日、訪中した世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長と会談し、「われわれには感染を抑え込み阻止する戦いに勝つ自信と能力がある」と強調したが、武漢での感染者増が続けば「責任ある大国」を掲げる中国の威信を大きく傷つけかねない。 (C)時事通信社