新型コロナウイルスによる肺炎患者が相次いでいる問題で、日本国内で初となる無症状の新型ウイルス感染者が30日に確認された。感染者が無自覚のままウイルスを拡散させる恐れが否定できない新たな事態を迎えたが、現在の体制ではこうした感染者の早期発見や二次感染の防止が難しく、政府は対策に追われている。
 「無症状の人が潜伏期間中に他の人に感染させる可能性を念頭に置く必要がある。最悪の事態も想定して(対策を)進めないといけない」。30日に記者会見した厚生労働省の日下英司・結核感染症課長はこう述べ、危機感をあらわにした。
 同省は当初、専門家の意見を踏まえ、「他のコロナウイルスによる感染症を勘案すると、無症状の感染者から感染が拡大する可能性は低いと考えられる」と発表していたが、撤回した。
 これまでは発熱と呼吸器症状があり、中国・武漢市から帰国したり、感染が疑われる人と濃厚接触したりした患者を新型ウイルス感染の「疑い例」と定義し、医療機関に保健所への連絡を求めてきた。合わせて空港などでの検疫を強化し、国内でのウイルス拡散防止を図ってきたが、滞在歴がなく症状もない感染者が出た場合の対応には限界があり、同省は定義の拡大も検討する。
 新型コロナウイルスによる肺炎は2月7日に「指定感染症」と「検疫感染症」に指定され、患者の強制入院や検疫所による強制的な診察・検査などが可能になるが、症状がない人は対象外となる。
 政府は症状の有無にかかわらず、武漢市に滞在歴がある全ての入国者の連絡先を把握し、健康状態を追跡する仕組みの導入など、まん延防止に全力を挙げる考えだ。 (C)時事通信社