【北京時事】新型コロナウイルスによる肺炎が拡大する中国の首都・北京市は春節(旧正月)連休のUターンラッシュに戦々恐々としている。連休が2月2日まで延長され、国内外に散らばった約2000万人の帰京がこれから本格化し、人から人への感染が広がることを懸念。抑え込めなければ、3月の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)など政治日程に影響する可能性もある。
 本来なら連休最終日だった30日、北京は静まり返っていた。映画館やレストランは軒並み休業。普段は大勢の人でにぎわう商業施設は人影もまばらで、自慢の大型ディスプレーは「マスク着用、手洗い励行、集まらない」など感染対策の標語を繰り返し映し出していた。31日からは地下鉄全駅で利用者の体温を測定する。
 北京の肺炎患者は既に110人を突破。市衛生当局は29日の記者会見で「集団感染例が増えている。症状の出ない感染者や低年齢の感染者も出ている」と危機感をあらわにした。初の死者となった男性は、市内の高校が20日に開いた保護者会に出席していたことが判明。学校は出席者に注意を呼び掛けている。
 北京の鉄道部門は28日から約1カ月間で、高速鉄道を含む130本以上の列車を臨時運休。中国政府は29日、「感染者を多く出している地域から社員をすぐに戻さないよう企業に指導する」ことを決定した。何とかUターン客を抑制しようとの狙いだ。
 一方で、感染拡大への備えも進む。大学やIT企業が集まる海淀区は、感染が疑われる人を隔離するためにホテルを貸し切った。市郊外では、2003年4月に重症急性呼吸器症候群(SARS)患者を収容するために建設した臨時病院の再稼働に向け、修繕作業が進む。
 北京では2月に予定されていた22年北京冬季五輪の「開幕まで2年」イベントや、アルペンスキー・ワールドカップの中止が既に決定。年に一度の重要政治イベントである全人代の開幕は3月5日に迫る。「(全国政治協商会議と合わせ)5000人が全国から集う会議を予定通り開けるのか」。党関係者からは危ぶむ声も出ている。 (C)時事通信社