【ベルリン時事】世界保健機関(WHO)のトップ、テドロス事務局長の中国への強い配慮が目立っている。テドロス氏が30日、新型コロナウイルスに関し「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した記者会見では、大部分の時間を割いて「中国政府は感染拡大阻止に並外れた措置を取った」と中国賛辞を繰り返した。
 会見でテドロス氏は、中国外での感染者は98人と「比較的少ない」と述べた。さらに中国以外では死者はゼロだとも強調した。
 こうした状況について「中国政府の努力がなければ、国外感染はもっと増え、死者も出ていたかもしれない」とあくまで中国を持ち上げた。さらに「中国は感染封じ込めで新たな基準を作った。誇張ではない」と述べ、他国も見習うべきだと褒めたたえてみせさえした。
 これに先立ち、テドロス氏は自ら中国入りしている。28日には北京で習近平国家主席と会談。習主席についても29日に「稀有(けう)な指導力がある」と評価していた。
 テドロス氏はエチオピア出身。同国の保健相や外相を歴任し、2017年にWHO事務局長に就任した。先進国からの目線ではなく、エボラ出血熱などに苦しむ途上国の視点から、新たなWHOの役割が開拓されることが期待された。
 歴代のWHO事務局長はもちろん、他の国連機関トップと比べても並外れて中国寄りの姿勢の背景に何があるかは不明。チャーター機を派遣して自国民の帰国を急ぐ国々が相次ぐ中、テドロス氏の主張に各国がどこまで同調できるかは微妙だ。 (C)時事通信社