新型コロナウイルスによる肺炎を感染症法上の「指定感染症」に定めた政令が1日に施行された。患者の強制入院などが可能になるが、専門家は「強制措置は必要最小限にすべきだ」と警鐘を鳴らす。
 指定により、患者は勧告を受けた上で強制的に入院させられたり、就労を制限されたりする恐れが生じる。職場への出勤禁止を破ると、50万円以下の罰金などが科される。ただ感染症法は強制措置について、「必要な最小限度のものでなければならない」と定めている。
 政府は人権制限の重大性から、指定感染症の政令施行までには、検討開始から周知期間を含め少なくとも2週間をかけてきた。今回は検討開始から5日後という異例の早期施行となったが、人権上の問題が生じる恐れはないのか。
 感染症と人権の問題に詳しい同志社大法学部の川本哲郎教授は、新型肺炎の早期指定を「感染拡大を防ぐために迅速に手を打つのはいいことだ」と評価する。
 その上で、「問題はその後。重要なのは状況を柔軟に判断し、むやみに長期間入院させるなど人権に関わる行動の制約を必要最小限にとどめることだ」と乱用を戒め、「法律で強制できるようになっただけで、納得の上で入院やホテル生活をしてもらうことが大事だ」と強調する。
 1月29日には、政府チャーター機で中国・武漢から帰国した人のうち2人がウイルス検査を拒否した。川本教授は「政府は2人にどのような説明をしたのかを検証し、窓口となる自治体職員らが感染者らに理解を得る説明ができるよう、情報を共有しなければならない」と求めた。 (C)時事通信社