日本からの進出企業は、英国の欧州連合(EU)からの離脱を冷静に受け止めている。年末まで英国はEU加盟国並みの待遇を受ける上、企業側も離脱を前提に準備を進めてきたためだ。しかし、新たな貿易ルール策定が難航すれば、事業環境の不透明感が強まるだけに、各社は英・EU間の交渉を注視している。
 金融大手は離脱後もEU域内で営業できるよう、ドイツやオランダでも免許を取得済み。「(離脱で)業務継続への影響は特にない」(三菱UFJフィナンシャル・グループ)と対策に自信を見せている。
 エーザイは、EUの医薬品当局が英国から移転したため、担当者をドイツなどに移した。鉄道車両工場を置く日立製作所は、離脱をにらみながら「(部品を)英国内で7割調達する形に持ってきた」(西山光秋執行役専務)という。
 ホンダは2021年中に英南部スウィンドン工場の操業を終了。既に労使の団体協議を終え、着々と撤退の準備を進めている。
 ホンダと取引がある車部品メーカーも英国脱出に動く。排ガス浄化装置のユタカ技研、車用ホースのニチリンはともに工場の閉鎖を決定。シート製造のテイ・エス テックや、緩衝器などを生産するショーワも労使協議を始めた。
 一方、トヨタ自動車や日産自動車は英国に工場を残す。年末までの移行期間中に英・EUの自由貿易協定(FTA)が締結されなければ、欧州への輸出に関税がかかり、「合意なき離脱」に匹敵する打撃を受ける。
 日産は「急な貿易システム変更は英国産業に深刻な影響を与える」と懸念を表明。日本商工会議所の三村明夫会頭は、FTAが結ばれた場合でも「(英・EU間で)今と同じような交流がなされるとは思えない」と指摘。「企業にとって(現状より)プラスはまずない」と日系企業への悪影響に警戒感を示した。 (C)時事通信社