【北京時事】中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の死者は300人を超え、市民の不安は高まる一方となっている。新型肺炎の数少ない対処法の一つがマスクの着用だが、北京市内の店舗では品切れが続いている。不安心理に拍車が掛かる中、悪質な業者から不当に高い価格でマスクを売り付けられる人もいる。
 新型肺炎は、特効薬や効果的な感染防止策が見つかっていない。当面の対策はマスク着用と手洗いのため、感染拡大につれマスクを求める人が急増。特に、重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染予防に効果があったといわれる「N95規格」の高機能マスクに人気が集まっている。
 製造業者はマスクの増産に努めているが、供給は追い付いていない。1月下旬から北京市の薬局やコンビニでは、N95だけでなく一般的なマスクを入手することも困難だ。北京市で5歳の子供を育てる40歳代の主婦は「子供の命を守るため、何とかN95を手に入れたい」と不安を募らせ、日本にいる知人にN95を入手して送付するよう要請した。
 ただ、N95はウイルスの通過を防ぐわけではない。N95は0.3マイクロメートルの大きさの微粒子を95%以上捕捉できるとされるが、新型コロナウイルスは0.1マイクロメートル程度とはるかに小さい。また、密閉性が高いN95は通気性が良いとは言えず、価格も高い。北京市疾病予防コントロールセンターの賀雄副主任は1月末の記者会見で、日常生活でN95を使用する必要はないと明言した。
 しかし、市民の不安心理に付け込み、通常の10倍の価格でマスクを販売したり、粗悪品を売りつけたりして摘発される例が後を絶たない。北京市当局は悪質なマスク販売に対して300万元(約4700万円)の罰金を科すなど厳しい態度で臨んでいる。 (C)時事通信社