新型コロナウイルスによる肺炎の広がりを受け、厚生労働省やメーカーは、医療従事者が使うマスクの安定供給に全力を挙げている。需給が逼迫(ひっぱく)する中、業界団体は「医療活動に支障が出てはいけない。品切れは許されない」と力を込める。
 「納期の遅れを見込んで発注量を増やしている」(担当者)。静岡県立総合病院(静岡市)では、十分な在庫があるうちに、不測の事態に備えて普段より多めのマスク確保に動いている。業界関係者によると、こうした動きは全国の感染症指定医療機関などに広がり、需要を押し上げているという。
 公立豊岡病院(兵庫県豊岡市)は、納入業者から「メーカーの出荷が止まり、マスクが手に入らない」と告げられ、新たな調達先を開拓中。担当者は「当面の在庫はあるが、長期化すると心配」と話した。
 メーカー各社は、生産ラインを24時間フル稼働させるなどして増産に力を入れる。ただ、医療現場向けに加え、薬局などが扱う一般消費者向けのマスク製造にも追われており、需要に供給が追いついていない。
 通常の100倍もの注文が殺到した大手メーカーのメディコムジャパン(神戸市)は、中国の工場で生産したマスクについて、地元当局の要請で同国内に優先的に出荷せざるを得ず、「日本まで十分に供給できる状態にない」と明かす。
 厚労省は先月末、「買い占めや備蓄目的で過剰な在庫を抱えないでほしい」と薬局の業界団体などに要請。都道府県に対し、全国の感染症指定医療機関の備蓄状況を調べるよう求めた。
 衛生用品の業界団体日本衛生材料工業連合会の担当者は「マスクの需要は狂乱状態。もう少し時間がかかるかもしれないが、早く落ち着いてほしい」と期待を込めた。 (C)時事通信社