新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を受け、全国の旅館などに中国人客の宿泊や予約の有無の問い合わせが相次いでいる。予約がキャンセルされることもあり、中国人団体客の大幅減で打撃を受ける宿泊施設側は、思わぬ「追い打ち」に頭を抱えている。
 日本旅行業協会によると、中国政府が海外への団体旅行を禁止した1月27日以降、訪日旅行客のキャンセルは40万人に上るとみられる。
 「自分が泊まる部屋に、直前まで中国人客が泊まっていたか」。アジア圏の利用客が多い大分・由布院温泉の高級旅館には最近、こうした確認の電話が増えた。担当者は「感染リスクは排除できず、完全に安全と伝えることはできない」と話し、普段の清掃よりレベルを上げ、部屋の殺菌消毒などをしていると客に理解を求めるという。
 外国人観光客に人気の京都市内の大手ホテルにも、同様の問い合わせが相次ぐ。日本人らのキャンセルが稼働率低下の新たな要因になっており、担当者は「仕方がない」と肩を落とす。
 群馬県の温泉地、伊香保でも毎日5件ほど質問があり、「武漢市からか」などと聞かれるという。渋川伊香保温泉観光協会の担当者は「心配するお客さまの気持ちも分かる」と理解を示す一方、過剰とも言える反応に戸惑いを見せる。
 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会には、各地から対応方法の相談が寄せられるが、市川正事務局長は「所在地の自治体ごとに対応方針が違うため一律な指導は難しい」と話す。2月末をめどに加盟施設から報告を求め、厚生労働省などとも協議して決めるという。 (C)時事通信社