【北京時事】新型コロナウイルスによる肺炎が拡大する中国で、日本の町内会に相当する「社区」ごとの住民監視が強まっている。北京市など主要都市では10日から企業の業務再開が認められたが、それぞれの住宅地では「自分の地域から感染者を出してはいけない」と「封鎖式管理」を導入。出勤を事実上妨害するなど移動制限をエスカレートさせている。
 北京のほとんどの社区では、帰省や旅行から戻った住民を登録し、住民委員会名で2週間の自主隔離を要求している。市政府は3日、「体温が正常で湖北省と接点がなければ14日間の観察期間は不要」との見解を発表したが、「提案」という形で事実上強制しているところも多い。
 ある社区では、出勤のために外出する住民に、会社名義の「誓約書」の提出を要求。この中では「従業員が感染拡大を引き起こした場合、会社が全ての責任を引き受ける」と明記。住民の男性会社員は「一度出たら戻ることはできないとも言われた」と頭を抱えている。
 外国人も監視の対象外ではない。連休中ずっと北京にいた時事通信記者も8日にパスポート持参で自宅近くの派出所に出頭を求められ、登録手続きをした。強制的な出頭要請はこれまで一度もなく「根拠となる規則や通知を見せてくれ」と要求したが、30分待って出てきた回答は「出入国管理法を読め」だけだった。
 国営中央テレビによると、習近平国家主席は10日、北京市内の社区をマスク姿で訪れ、防疫活動を視察。重点的な住民監視などの取り組みを評価した上で、「全ての社区を感染拡大防止の堅強なとりでにしなければならない」と訴えた。
 新型肺炎発生以降、習氏が「現場」入りするのは初めて。習氏はこの後、市内の病院からネット映像を通じて湖北省武漢市の病院で奮闘する医療関係者を激励した。
 一方、社区を指導する民政省は10日の記者会見で「封鎖式管理」の有効性を認めながらも、「秩序ある住民の生産・生活活動を保障し、社区の温情を断ち切ってはいけない」と行き過ぎを戒めた。 (C)時事通信社