新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」について、厚生労働省は12日、同船の検疫に対応した検疫官1人の新型ウイルス感染を確認したと発表した。検疫官の感染判明は初めて。また、新たに検査結果が判明した乗客ら53人のうち、日本人10人を含む39人の感染も確認された。
 同船の乗客乗員の感染者は検査を受けた延べ492人中、174人。国内感染者は計203人となった。
 同省は、クルーズ船の感染者のうち、人工呼吸器を装着したり集中治療室に入ったりしている重症患者が4人いることを明らかにした。いずれも持病がある男性。うち3人は日本人で、60代1人、70代2人。この他に外国籍の60代男性1人が重症で集中治療室に入っているといい、感染の有無を調べている。
 関係者によると、4人には深刻な基礎疾患を持つ人もいるという。新型ウイルスに感染した場合、持病のある人や高齢者は重症化する恐れが高いとされる。
 厚労省によると、感染した検疫官は横浜検疫所に勤務する50代男性で、今月3日夜から4日夜にかけ、乗客の体温測定や検疫に関する質問票の回収を担当。その際、世界保健機関(WHO)の指針に従いマスクと手袋は着用していたが、全身防護服やゴーグルは身に着けていなかった。5~7日は船外で勤務し、マスクを着用しない時間帯もあった。9日に発熱、10日に医療機関を受診した。同省は検疫官の家族ら濃厚接触者に外出自粛を指示した。
 同省は検疫官を通じて乗客に感染が広がった可能性について、「マスクなど必要な感染防御策を取っていた上、5日以降は船外に出たので、現時点では考えにくい」としている。
 同船は3日夜に横浜市の大黒ふ頭沖へ到着。1日の那覇入港後に香港で下船した男性の感染が確認されたため、那覇での検疫は取り消され、改めて検疫官らが乗船して横浜で検疫を続けていた。 (C)時事通信社