【北京時事】中国の習近平国家主席は13日、新型コロナウイルスによる肺炎の発生地で感染者の拡大が止まらない湖北省と武漢市のトップを一斉に更迭し、後任として自身に近い人材を送り込んだ。湖北省の感染者はこの日の基準変更も加わり5万人近くに急増。事態悪化が進む最中の荒療治は、成否次第で習氏に批判が集中するリスクとも背中合わせだ。
 蒋超良・湖北省共産党委員会書記(62)の後任に決まった応勇・上海市長(62)は、習氏の浙江省勤務時代の部下。浙江省で公安・司法畑を歩み、2017年に上海市長に抜てきされた。湖北日報(電子版)によると、湖北省に着任した応氏は13日の幹部会議で「習近平総書記の指導と依頼に断じて背いてはならない」と強調した。一方、「私に対する批判と監督を歓迎する」と呼び掛けた。
 馬国強・武漢市党委書記(56)に代わって武漢市を任されたのは、王忠林・山東省済南市党委書記(57)。習氏の妻・彭麗媛氏と同じ山東省出身で、応氏と同様、公安・司法畑を歩んだ。
 湖北省政府はこの日、トップ交代に合わせるかのように、感染者の診断基準を変更した。ウイルス検査で陰性でも、コンピューター断層撮影装置(CT)での肺炎症状の確認など臨床診断でより幅広く認定した結果、13日午前0時(日本時間同1時)時点の感染者数は4万8206人と、1日で1万4840人増えた。このうち1万3332人が臨床診断。1310人に達した死者も、増加した242人のうち135人が臨床診断だった。
 国家衛生健康委員会は「早期の感染確認で治癒率を向上させたい」と基準変更の狙いを説明。これまで収容能力が追い付かず治療を受けられなかった潜在的な感染者と向き合うことなしに、感染拡大を防ぐのは困難と判断したもようだ。
 習主席は12日の会議で「湖北省、特に武漢市は依然として重点中の重点だ」と強調。13日には人民解放軍の医療チーム約2600人を武漢に追加派遣することを決定した。
 10日になってようやく北京市内を現場視察するなど、腰の引けた対応が国民の批判を受ける習氏は、湖北省への関与強化で形勢逆転を図る意向とみられる。しかし、側近の応氏がウイルス封じ込めに手間取れば、批判は再び習氏に向かいかねない。 (C)時事通信社