新型コロナウイルスの国内での感染拡大の恐れが強まったことを受け、不特定多数の人が出入りする商業施設や各地の観光地では14日、マスク姿の店員や客らから不安の声が相次いだ。
 多くの外国人が行き交う東京・銀座。高級ブランド店やデパートの店員は皆マスクを着けていた。アクセサリー売り場の女性は「通りに面した1階は特に多くの方が出入りするので、必ず着用と指示された」と話す。東京メトロ銀座駅でも、駅員はマスクを着用。案内所に立つ男性社員は「不安はあるが、マスクや手洗いくらいしかできることがない」と話した。
 ドラッグストアでは、この日もマスクの棚に人だかりができた。60代の女性客は購入を見送り、「もう外出したら感染リスクがあると思って行動した方がいい。買い占めはせず、あるものを工夫して対策する」と冷静に話した。
 観光地京都の食を支える京都市中京区の「錦市場」は、外国人観光客が減り、にぎわいも普段の半分ほどだ。購入品の食べ歩きや店のフレンドリーな接客が魅力だが、一連の騒動でマスクや手袋をして接客する店が増えた。
 天ぷらなどを販売する「錦一葉」の塩見哲孝店長(43)は「声が通らず、表情が隠れて感謝の気持ちも伝わりづらい」とマスク越しに渋い顔を見せる。「寂しいが、何もしないわけにもいかない」。高校の卒業旅行で東京から訪れた桑原幸未さん(18)は「普段は消毒に気を使うが、旅行くらいは楽しみたいし」と、複雑な表情を浮かべた。
 バレンタインデーの当日、名古屋市内で開かれた大規模なチョコレート販売イベントでも、スタッフのマスク着用を徹底し、手指の消毒用のアルコールも置かれた。一方、マスク姿の客はまばらで、対策して来店した愛知県春日井市の主婦(39)は「みんな気にしていないのかな」と驚いた様子。神奈川県から来た女性会社員(24)も「周囲の様子で着けなくてもいいかなと感じた。職場のある東京より警戒心が下がった」と話した。 (C)時事通信社