【バンコク時事】カンボジアに到着したクルーズ船「ウエステルダム」号から下船した乗客に新型コロナウイルス検査で陽性反応が出たことが波紋を広げている。運航会社は船内に残る乗客乗員とカンボジアに滞在する下船者に検査を実施するほか、帰国した搭乗者にも診断を受けてもらうと説明。周辺国は下船者を通じた感染拡大への懸念を強め、タイ政府は乗っていた外国人の入国を拒否する方針を決めた。
 1日に香港を出港したウエステルダム号は、肺炎の感染者がいる恐れがあるとして日本やタイなどが寄港を認めない中、カンボジアが受け入れを表明。13日に南部シアヌークビルに入港し、14日に下船が始まった。
 港ではフン・セン首相も搭乗者を出迎え、花束を渡して歓迎した。ところが、下船後にマレーシア入りした米国人女性の感染が確認され、不安が広がった。中でも搭乗者の多くが乗り継ぎのために向かうとみられたタイは警戒を強め、保健省当局者は「感染者が出た以上、対策を強化する」と強調した。
 運航会社によると、全員が航海中に検温し、発熱がある搭乗者はいなかった。また、下船に先立ち、健康に関するアンケート調査を実施。体調不良を訴えた20人に行ったウイルス検査では全員が陰性だった。感染が確認された女性は、船内では体調を崩していなかったという。
 ウエステルダム号では乗客乗員2257人のうち、今も約1000人が船内で待機している。運航会社は29日に横浜を出港する予定だった次の航海の中止を決定。寄港予定地の入港拒否など「予測不能の事態を考慮した」と説明している。 (C)時事通信社