新型コロナウイルスの集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で乗客の下船が始まる中、下船者から感染が広がるのではないかと不安視する声が出ている。米国など各国が下船者をさらに14日間隔離するのに対し、日本政府は日常生活に戻ってもらうとしているためだ。
 「自宅に帰り、満員電車に乗り、デパートに買い物に行き、映画を見に行くことまで認めて本当にいいのか。2週間隔離するのが賢明な判断ではないのか」。野党共同会派の山井和則元厚生労働政務官は19日の衆院予算委員会で、下船者に対する日本政府の対応に疑問を呈した。
 14日間の船上待機期間が終わった19日、政府は発熱などの症状がなく、ウイルス検査で陰性となった乗客を3日間に分けて下船させる計画をスタートさせた。下船後は毎日の健康状態のチェック以外、生活上の制限を設けない。初日の下船者も路線バスなどの公共交通機関を使うなどして、船を後にした。
 政府はこうした対応を国立感染症研究所の見解に基づく判断だとしている。それでも不安の声が上がるのは、他国の対処と隔たりがあるためだ。
 19日を待たず、いち早く自国民を下船させた米国は、連れ帰った328人を米軍基地に14日間隔離。カナダ、オーストラリア、韓国、香港なども同じ措置を取る。14日間の船上待機期間中に感染が確認されなくても、潜伏期間が続いている可能性を排除できないとの判断からとみられる。
 山井氏の追及に対し、加藤勝信厚労相は「新型コロナウイルスは分からない。(待機期間が)本当に14日間でいいのかも。要するにどこで判断するかだ」と苦しい答弁に終始。山井氏は「分からないなら、最悪の事態を想定するのが感染症対策ではないか」と政府の対応を批判した。
 19日の自民党の対策本部会合でも、出席者から下船時の感染リスクを懸念する声が上がった。安倍晋三首相は19日、首相官邸で会談した公明党の山口那津男代表に「下船する人をしっかりフォローアップしていく」と強調した。 (C)時事通信社