新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、カギを握るのが自治体による適切な情報発信だ。担当幹部ではなくトップ自ら検査結果を発表したり、独自の判断で感染者情報を提供したりするなど、住民の不安解消を最優先する姿勢が目立つ。一方で「自治体や医療現場ともっと情報共有してほしい」などと、国の対応に不満の声も出ている。
 和歌山県は13日、最初の感染者確認を検査結果の判明から1時間足らずで公表。それ以降、記者会見を毎日開き、仁坂吉伸知事が対応してきた。「問題解決に有効な情報は隠さず、ぼやかさず、鮮明に言いたい」と知事。知事がスポークスマンになれば、「担当課に聞かないと分からない」という事態は免れる。「県民の命や財産に関わる問題を重視する姿勢を示すこともできる」(県幹部)。
 北海道は、14日に確認された道内2例目の感染者について、プライバシーを重視した厚生労働省の公表に合わせ、詳細を明かさなかった。しかし17日、一転して居住地域などを公表。「感染拡大防止や道民の不安解消のため、患者が発生した際には、タイムリーに情報を公表、発信することを判断した」(鈴木直道知事)という。公表に当たっては、個人が特定されないよう配慮した。
 自治体が情報発信を強化する中、国の情報提供の在り方に苦言も聞かれる。鳥取県の平井伸治知事は17日、集団感染が発生したクルーズ船に関し「仮に県内関係者が船内にいるなら、準備もあるので知らせていただきたいが、国から一切届いていない」と指摘。「現場に混乱を来さないためにも、一定の情報共有は必要だ」と強調する。
 また、厚労省は連日のように対応策などを通知しているが、自治体からは「矢継ぎ早に来て、管轄の保健所に連絡する間もなく次の通知が来たりする。逆に見落としがないか不安になる」との声。「少しでも早く全国で体制を整えたいという気持ちは分かるが、もう少し整理してもらった段階で通知してほしい」と本音も漏れる。
 同省が17日に公表した相談・受診の目安に関しても戸惑いの声が上がる。検査対象者の要件に「医師が総合的に判断した結果、新型コロナウイルス感染症と疑う者」が追加されたが、「『総合的判断』に明確な基準はなく医師任せ。放り投げている感じもする」と現場は受け取る。「医療機関と調整できていない中、突然公表された。公表前に自治体に連絡してほしかった」という声もある。相次ぐ情報提供への対応も課題となっている。 (C)時事通信社