新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」をめぐり、船内での感染症対策に専門家から疑問が相次いでいる。乗船した専門家は「悲惨な状況」と話す動画をサイトに投稿。厚生労働副大臣も船内の管理不備を認めるコメントを発信した。
 感染症が専門の神戸大の岩田健太郎教授は動画投稿サイト「ユーチューブ」に公開した動画で、自身が災害派遣医療チーム(DMAT)の一員としてクルーズ船に乗船したとし、船内の感染症対策は「悲惨な状況で、心の底から怖い。感染してもしょうがない」と述べた。どこにウイルスがいるのか分からない状況で、熱がある人が医務室に向かって歩いていたなどと批判した。
 岩田教授は19日の野党共同会派のヒアリングでも、船内に検疫本部を置いたことで、安全なゾーンと感染の危険があるゾーンの区別があいまいになっていたと指摘。検査で陰性だった乗客を下船させているが、検査の精度は3~5割程度にとどまるとし、「これを根拠に感染していないというのは非医学的だ」と訴えた。
 岩田教授は20日午前に動画を削除し、ツイッターに「これ以上この議論を続ける理由はなくなった。ご迷惑をお掛けした方には心よりおわび申し上げます」と投稿した。
 厚労省の依頼で船内調査に当たった岩手医科大の桜井滋教授は、船には感染対策の専門家が当初から常駐していなかったと指摘。一方で、感染の危険のあるゾーンの区分けはされていたとの認識を示した。
 看護師の感染が確認されたDMATについては、マスクの装備が統一されておらず、指の消毒薬の携行なども見られなかったと疑問を呈し、「危険ではないかとの認識があった」と述べた。
 橋本岳厚労副大臣は19日、自身のフェイスブックに、厚労省は専門家の支援を受けて臨船検疫を行っているとしながらも、「職員の感染が判明してしまった状況の中で、完全なコントロールができていると申し上げることはできません」と投稿した。 (C)時事通信社