新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客だった80代の乗客男女2人が死亡した。専門家は、長期の船内待機や検査の遅れなど、政府の対応に不備があったと指摘する。
 長崎大の安田二朗教授(新興ウイルス感染症学)は、乗客が長期間の船内待機を求められたことについて「精神的なストレスがあったり、持病の十分なケアができなかったりした可能性がある」と分析。高齢者は感染した場合、船内待機がなくても重症化していた恐れがあるとしつつ、待機が「悪影響を及ぼした可能性は否定できない」と指摘した。
 厚生労働省によると、死亡した女性には持病がなく、5日に発熱し6日に下痢症状を呈して船内の医療機関を受診したが、感染を調べる検査と外部の医療機関への搬送が行われたのは12日だった。厚労省は、1週間を要した理由は分からないとするが、感染症の専門家は「重症化リスクの高い高齢者であり、発熱したらすぐ検査すべきだった。搬送日には酸素投与を受けており、既に状態が悪化していたのではないか」と分析した。
 死亡した男性には、狭心症の治療歴と気管支ぜんそくの持病があり、10日に発熱した。潜伏期は一般的に5日程度とみられていることから、この専門家は「船が3日に横浜港に着いた時点では感染していなかった可能性がある」と語り、3日の下船を認めず、感染を防ぐための客室待機を5日からとした政府の対応が感染につながった恐れがあるとした。
 2人には海外で効果が報告されている抗エイズウイルス(HIV)薬やインフルエンザ治療薬も投与されたが、厚労省は投与時期など詳細を把握していないと説明している。 (C)時事通信社