前例のない感染症拡大への対応で、自治体は手探りの状態が続く。時事通信の都道府県への調査では、政府に対して「情報と医療物資の迅速な提供」を要望する声が多く上がった。
 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」をめぐっては、下船後に感染が判明するケースが相次いだ。自治体では当初、情報が提供されず地元での対応に遅れが出たことから、岐阜や大阪は「迅速に情報共有してほしい」と求めた。
 県民や医療関係者から「厚生労働省の発表は分かりにくい」との声が出たという石川。「分かりやすく安心できる情報を出してほしい」と注文する。島根は「必要な対策は国が迅速に自治体や国民に示して」と訴える。
 感染者の行動歴などの情報公表に関して、全国知事会は1月末から、統一基準の公表を政府に求めてきたが、まだ示されていない。「個人情報や風評被害との兼ね合いが難しい」(広島)などと多くの自治体が策定を望んでいる。
 政府が示した相談・受診の目安について、愛知は「範囲が広すぎ、住民が相談窓口に殺到した場合、対応できるか不安」と吐露。高知は「受診に関する適切な情報を国民に提供してほしい」と強調する。ウイルス検査を受けやすくするため、対象については「柔軟に基準の見直しを」(長野)との声もあった。
 医療物資関係では「防護服、マスク、手袋などが足りない。潤沢に提供できる体制をつくってほしい」(静岡)といった切実な訴えも相次ぐ。鹿児島などは「簡易検査キットとワクチンの早期開発」を要望した。
 こうした中、全国知事会は自治体間の相互支援を検討。クルーズ船の感染者らを受け入れる神奈川に対し、医療用マスク1万枚を送る予定だ。ただ、新たな感染者はいつどこで出るか分からない。各都道府県には「どれだけ送ればいいのか戸惑いもある」(同事務局幹部)という。 (C)時事通信社