【ワシントン時事】米保健当局者が、新型コロナウイルス感染地から退避した米国人の帰国に当たり、十分な訓練や感染防止措置もなく現場に送り込まれたと内部告発した。米国内での本格的な感染者増加に懸念が高まる中、準備が不十分なまま楽観的な見通しを繰り返すトランプ大統領の姿勢に疑念の声が上がっている。
 27日の米紙ワシントン・ポスト(電子版)などによると、内部告発したのは厚生省児童家庭援護庁の職員で、中国・武漢からの帰国者が収容されたカリフォルニア州の米軍基地へ派遣された。職員らが対応した中に、肺炎の症状が出た帰国者はいなかったという。
 この職員は監察当局に提出した告発文で、「公衆衛生上の緊急事態を想定した適切な訓練も装備も与えられなかった」と主張。疾病対策センター(CDC)の専門家が防護服で作業する中、そうした装備もなく、時に帰国者らと対面状態で任務に臨んだという。
 準備不足の背景として、同紙は「ここ数週間のトランプ政権による対応は遅く、まとまりもなかった」と解説。西アフリカでのエボラ出血熱拡大を受けてオバマ前政権が2014年、地球規模の感染症対策を監督するため、国家安全保障会議(NSC)に置いた常設チームをボルトン前大統領補佐官(国家安保担当)が解散するなど、政権が平時から体制を整えていなかったと指摘した。
 トランプ氏は26日、新型コロナウイルス対策に関する記者会見で、米国で感染者が増加しても「準備は十分できている」と明言。ツイッターでは米CNNテレビなどを名指しし「(ウイルス感染拡大を)できるだけ悪く見せるために手を尽くし、市場を動揺させようとしている」と批判した。
 だが、カリフォルニア州では既に、感染経路のはっきりしない感染者が発生。CDC幹部は、米国内での流行は「起きるかどうかではなく、いつ起き、何人の重症患者が出るかという問題だ」と警告している。 (C)時事通信社