政府が閣議決定した年金制度改正法案をめぐり、国会では4月から本格的な審議が始まる。焦点である短時間労働者への厚生年金の適用拡大策をめぐり、低所得者や事業者への影響について論戦が交わされる見通し。新型コロナウイルスの感染拡大を受け景気後退の兆しが強まる中、年金財政の将来についても野党は厳しく追及する構えだ。
 法案では2024年10月に向け、厚生年金を含む被用者保険の加入義務を負う企業規模を「従業員数501人以上」から「同51人以上」に段階的に引き下げる。新たに65万人に厚生年金が適用される見通しで、「就職氷河期世代」で不安定な雇用環境にある人の老後資金の底上げにつながるとも期待される。
 ただ連合などは「そもそも企業規模要件は撤廃すべきだ」(幹部)と指摘。企業要件を撤廃した場合は約125万人が加入する試算で、今回の改正はその半分程度にとどまる。厚生労働省幹部も「今回は通過点だ」と不十分さを認める。
 半面、保険料を折半する事業者にとって、適用拡大は経営の圧迫要因になり得る。パート労働者を多く抱える外食産業などは反対声明を発表。政府は19年度補正予算などに生産性向上への支援策を計上しており、法案審議でもこうした取り組みへの理解を求める考えだ。
 一方、今年1~3月期の実質GDP(国内総生産)も新型コロナウイルスなどの影響で2四半期連続マイナスになるとの見方が出ている。景気後退が現実となれば、一定の経済成長が続く前提で厚労省が試算した将来の年金給付水準も下振れしかねない。
 国民年金については、現役世代の手取り収入と比べた給付水準が将来2割台に低下する試算もある。改正法案には抜本的な改善策はなく、野党などから対策の必要性を迫られそうだ。 (C)時事通信社