新型コロナウイルスの感染拡大で、各地の地方選挙にも影響が出ている。「マスクは有権者に失礼」「集会を中止した」。候補者らは対応に苦慮しており、投票率にも影を落とす。5日告示の熊本県知事選では日程延期も一時検討された。
 「同行するスタッフにはマスクを着けさせたが、失礼なので自分はできない」。2月23日に投開票が行われた千葉県四街道市議選では、一部の候補者は屋内集会を中止し、有権者との握手も控えた。県内で次々と感染者が出る中、当選した無所属の男性も街頭演説でマスクを着けるか悩んだという。
 投票率は過去最低の39.02%で、前回を6.81ポイントも下回った。市選挙管理委員会は投票所にアルコール消毒液を設置し、投票用紙の記載台を除菌するなどしたが、担当者は「少なからず影響したと思う」と振り返った。
 3月1日投開票の長崎県対馬市長選も63.23%と前回より16.4ポイント下落し、市選管は感染拡大が要因の一つとみている。
 これから実施される選挙の関係者も頭を悩ませている。
 5日告示、22日投開票の熊本県知事選では、日程延期が一時浮上。県選管は流行収束の見通しが立たないことから、2日の会議で予定通り実施すると決めたが、投票所での感染を懸念する声に配慮し、記入用の鉛筆は持参できるなどと案内している。
 立候補予定の現職蒲島郁夫氏(73)は4日に記者会見し、「出陣式」や街頭演説は控え、選挙カーでの遊説も15日まで自粛すると表明。新人の前熊本市長幸山政史氏(54)も集会などは開かないといい、後援会関係者は「街頭での予告なしの『つじ立ち』くらいしかできない」と話す。
 立候補予定者6人の公開討論会をインターネット中継し、一般来場者の入場を取りやめたのは、8日告示の長野県松本市長選。各陣営とも集会中止や握手自粛などを決めており、立候補予定の女性(52)は「有権者とじかに触れる機会が減るのは残念だ」とこぼした。 (C)時事通信社