新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月に株主総会を開く企業が対応に苦慮している。カゴメは感染した疑いが残るとして、体温が37.5度以上ある株主の入場を断る方針を決めた。花王やサントリー食品インターナショナルなどは、うつると重症化しやすいため、糖尿病など基礎疾患がある人や高齢者らに欠席するよう呼び掛けている。座席の間隔を広げるほか、恒例の事業報告を簡略化し、開催時間の短縮を探る動きも出ている。
 3月に総会を開くのは12月期決算企業が中心。会社法上、延期することは可能だが、株主の一部は配当を得られない恐れなどがあり、ハードルが高い。新型肺炎に収束の兆しが見えず、「延期しても開催のめどが立てにくい」(中外製薬)という事情もある。
 このため、各社は株主総会を予定通り開く前提で、感染拡大を防ぐ手だてを考えている。カゴメは入り口近くにサーモグラフィーを設置。画像から高温と判断すれば別室で株主の体温を計測し、37.5度以上なら入場を断る。中外製薬は運営スタッフの体温を調べることを検討しており、事業報告の簡素化などで所要時間の短縮も目指す。
 例年1500~2000人が出席する資生堂は、会場内に消毒液を配備し、座席の間隔を空ける考え。株主が立ち止まって見る事業活動の展示も見送る。ヤマハ発動機はスタッフがマスクを着用する予定だが、「品薄のため準備できるか頭が痛い」(広報担当)と漏らしている。
 平日開催やライブ配信で規模の縮小を図るIT企業もある。GMOインターネットは開催日を週末から変更し、総会内容のネット配信も併用。土産目当ての入場者を呼び込まないようにするため、土産の配布も見送る。
 各社は書面やネットを通じた事前の議決権行使も強く要請。総会を欠席しても、権利は確保されると訴えている。
 質疑応答を含め、株主がネット上で参加できる総会の実現を求める声もある。ネット総会は欧米で一般的だが、日本の会社法は開催場所を設けるよう求めており、現時点では事実上認められていない。大和総研の鈴木裕主任研究員は、遠方に住む株主の利便性を高めるほか、感染症対策としても「(ネット総会の)議論が加速してほしい」と話している。
 ◇株主総会での主な対策
▽資生堂(25日)
 席の間隔を広げ、別会場用意。事業活動展示を中止
▽花王(25日)
 基礎疾患のある人や高齢者、妊婦らに欠席検討要請。入り口で株主検温、議事の時間
 短縮。飲料提供と懇談会中止
▽フューチャー(25日)
 ペットボトルの水のみ提供、経営近況報告会と土産配布中止
▽ピジョン(27日)
 登壇者もマスク着用、高齢者らに慎重な出欠判断要請。飲料提供と商品展示を中止
▽サントリー食品インターナショナル(27日)
 救護室用意、スタッフ検温。高齢者らに欠席検討要請
▽カゴメ(27日)
 サーモグラフィー設置し、体温37.5度以上なら入場お断り。交流イベントと土産配布
 中止
▽GMOインターネット(30日)
 週末から平日に日程変更、来場特典の配布中止。ライブ中継実施
▽中外製薬(30日)
 高齢者らに欠席検討要請、席の間隔確保。時短やスタッフ検温検討
(注)カッコ内は開催予定日。 (C)時事通信社