【北京時事】新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を受け1月下旬から閉鎖が続く中国湖北省武漢市民の間で不便な生活に不満が広がっている。食料品などの生活物資の入手に困る多数の住民が、現地視察した孫春蘭副首相に不満の声を直接ぶつける様子がネット上で拡散。習近平指導部は住民の側に立った徹底調査と責任追及に動いている。
 ネット上に投稿された動画などによると、武漢市で肺炎対策の現場指揮を執る孫副首相が5日に市内の集合住宅を視察した際に、多数の住民が自室から「全部うそだ」「庶民はみんな高い値段の物を食べている」と次々と大声を上げた。住民は自由な外出が認められず、食料は集団でまとめ買いが行われている。
 物資の供給態勢が不十分であるにもかかわらず、順調であるかのように見せ掛けて視察が行われたことに住民が怒ったとみられる。国営新華社通信は、「孫氏は省と市に対して、大衆が現場で示した困難と問題に関する徹底調査を指示し、形式主義と官僚主義の排除を求めた」と伝えた。
 習指導部は「十分な対策で情勢は良くなっている」と宣伝している。こうした中で市民の不満が体制批判に転換することを警戒しているもようだ。中国政府で地域住民の生活関連政策を立案する民政省幹部は9日の記者会見で「報道された武漢市の『うそ』は党と政府のイメージを甚だしく損なった。断固として正さなければいけない」と強調した。 (C)時事通信社