【ワシントン時事】トランプ米大統領は11日、英国を除く欧州諸国からの米入国禁止などを盛り込む新型コロナウイルス対策を発表した。米国内で感染者が急増し、市場にも動揺が拡大する中、11月の大統領選への影響を抑えるため、政権の危機管理能力をアピールした格好。しかし、経済面の影響を過小評価した結果、対応が後手に回った感は否めない。
 「ウイルスとの闘いで今は重大な時期だ」。トランプ氏は11日の演説で、早急に対策を講じる必要性を強調。感染の震源地となった中国からの入国制限など、政権による従来の対応策も誇示した。
 ただ、トランプ氏はこれまで「米国では感染者数が非常に少ない。全ての国々がうまくやっている」などと楽観論を繰り返してきた。ワクチン開発支援を柱とした緊急対策予算も、2月の発表時点で25億ドル(約2600億円)規模だったが、「少なすぎる」という野党民主党の主張で83億ドル(約8600億円)に増額されるなど、危機意識の差も垣間見られた。
 ところが今週に入り、新型ウイルスの感染拡大と原油価格暴落を背景に株価が急落。株高と雇用増を政権の成果に掲げてきたトランプ氏にとって、再選戦略に狂いが生じかねない事態となった。景気対策を連邦準備制度理事会(FRB)の利下げに依存してきたつけを払わされる形で、追加対応を迫られたと言える。
 トランプ氏は演説で「政治(闘争)を脇に置き、党利優先をやめ、国家として団結しなければならない」と強調。感染拡大で影響を受ける業界を対象とする企業減税などに超党派で取り組むよう議会に訴えた。
 だが、トランプ氏はこれまで、新型ウイルス対応でも「何もしない民主党は、口先ばかりで行動しない」などと中傷を繰り返してきた。下院多数派を握る民主党には、企業減税が選挙をにらんだ「ばらまき」ではないかという警戒感が強く、立法を伴う感染対策の先行きは不透明だ。 (C)時事通信社