【ワシントン、ニューヨーク時事】新型コロナウイルスの感染拡大が、米国でも人々の生活に影響を及ぼし始めた。各地で大規模集会が禁止され、プロスポーツ興行の日程変更や休校が相次いだのに加え、在宅勤務に踏み切る企業も続出。生活環境が急変し、終わりの見えない異常事態に不安が広がっている。
 米国の感染者は当初、中国からの帰国者やクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客が大半で、当局も感染地からの入国規制など「水際対策」に重点を置いていた。だが、海外渡航とは直接関係ないケースが急増。国内の感染者は最初に確認された1月下旬から2カ月足らずの間に、米疾病対策センター(CDC)のまとめで1200人を突破した。
 オハイオ州やメリーランド州では全域で学校が休校となり、各地の大学で休講やテレビを通じた遠隔講義への切り替えが相次いだ。ニューヨーク市郊外では一部地区が「封じ込め地域」に指定され、州兵が住民に食料を配るなどしている。
 スポーツ界では大リーグの開幕が延期され、選手の感染が判明した米プロバスケットボール協会(NBA)や、北米アイスホッケーリーグ(NHL)の日程も中断。ゴルフやテニスのトーナメント中止も続出した。
 大規模イベントの禁止を受け、ミュージカルの本場ブロードウェーは「観客や業界で働く何千人もの関係者の健康が最優先事項」として、全公演を4月中旬まで中止。ニューヨークのメトロポリタン美術館やワシントンのスミソニアン博物館も休館を余儀なくされた。米ウォルト・ディズニーは、ロサンゼルス近郊やフロリダ州の大規模テーマパークの休園を決め、観光産業への打撃は避けられない。
 ワシントンでは、ホワイトハウスや連邦議会議事堂、連邦最高裁が見学ツアーを中止。14日にネバダ州ラスベガスで予定されていた米・東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が延期されたほか、米国が議長国を務める先進7カ国(G7)の外相会議や財務相・中央銀行総裁会議もテレビ会議に切り替えられるなど、外交日程にも影響が広がっている。
 12日にホワイトハウスで開かれたトランプ大統領とバラッカー・アイルランド首相の首脳会談では、冒頭の握手を「自粛」し両者が互いに一礼して会談入り。トランプ氏は記者団に「政治家にとって握手は普通のことだが、妙な感じだ」と感想を語った。 (C)時事通信社