脳性まひで全身がほとんど動かせない男性が、ヘルパーの介助を受けて大阪市で1人暮らしをしている。親元を離れるまで続いた葛藤は5年。現在は電動車いすで街を移動して趣味も楽しみ、「障害があっても地域で自由に暮らせると知ってほしい」と話す。
 同市西成区の賃貸マンションで暮らす藤原拓郎さん(30)は、生まれつき脳性まひで体をほとんど動かせない。NPO法人「ムーブメント」(同市天王寺区)の支援を受け、7年前に市内の実家を出た。
 5人兄弟の3番目。父親が早くに亡くなり、実家では弟に介助してもらっていたがけんかが絶えなかった。自分より重度の障害者が1人暮らしをしていることに刺激を受け、18歳で実家を出ると決心したものの、心配する母親の説得を受け、家を出るまで5年を要した。
 公的サービスの「重度訪問介護」を使い、ヘルパーの24時間介助を受けての生活。アニメ声優の大ファンで、SNSで知り合ったファンとの情報交換や、映画館でのライブイベントなどに足を運ぶのが何より楽しい。
 1人暮らしを始めて3年目の秋、電動車いすで紀伊半島を一周する旅に出た。幼いころ母親に言われた「与えられるだけでなく、成し遂げられる人になりなさい」との言葉が心に残っていた。
 ヘルパーと一緒にコンビニの駐車場などにテントを張り、40日間で約700キロを進んだ。「途中で死ぬかもしれないとの覚悟だった」。市役所や学校など約30カ所を訪問し、障害者差別解消法の理念を訴えた。
 福祉サービスが地方に行き届いていないことも実感したといい、「障害があっても施設や親元を離れて暮らせることを、まず障害者自身が知ってほしい」と力を込めた。 (C)時事通信社