【ロサンゼルス時事】新型コロナウイルスの感染者21人が確認され、米カリフォルニア州オークランド港に入港中のクルーズ船「グランド・プリンセス」から乗客の下船がほぼ完了した。「ダイヤモンド・プリンセス」号で乗客らを船内隔離し、感染拡大を阻止できなかった日本を反面教師として迅速な対応を目指したが、完璧な方法があるわけではなく、感染症をめぐる大型船対策の限界も浮き彫りになった。
 運航会社などによると、9日から13日朝の間に外国人14人を除く乗客全員が下船。一部乗員を含む約2450人が既に船を下り、隔離のため米国の軍基地や母国に送られた。ただ、ニューサム州知事は12日の記者会見で、一部下船者からウイルスの陽性反応が出たことを明らかにしており、感染の広がりの全貌はまだ見えていない。
 当初は、乗客を2、3日で下船させ、港の利用者や地域住民に配慮して、船がとどまる時間を最小限にすると説明。乗員約1100人は船内で隔離し、船は別の場所に向かう計画だった。しかし、知事は船が15日まで港に停泊するという見通しを示した。
 ニューサム知事は「今回のような送還対応が必要な船はもうたくさんだ」と本音をのぞかせた。実際に世界各地で港湾当局がクルーズ船の入港や乗客の下船を拒否する例が相次いでいる。カナダは13日、7月1日まで500人超が乗るクルーズ船の入港を禁じた。
 業界団体のクルーズライン国際協会は、14日以内に感染が深刻な地域を訪れた人の乗船を拒否したり、すべての乗船者の体温測定を実施したりする対策を打ち出したが、同様の事態が起こる懸念はぬぐえない。クルーズ船の運航各社は、次々と休止を発表。米プリンセス・クルーズのシュワルツ社長は「われわれの会社の歴史の中で最も難しい決断だった」と語った。 (C)時事通信社