【サンパウロ時事】新型コロナウイルスが最も遅く到達した地域の一つである南米では感染者が急拡大中で、17日までに700人以上の感染者が確認され、少なくとも5人が死亡した。貧困率が高く公衆衛生が未発達の各国は、水際で大流行を食い止めようと、相次いで国境封鎖に踏み切っている。
 感染者数は56人と少ないながらも、既に2人が死亡したアルゼンチン。フェルナンデス大統領は15日、「自国民と在留外国人以外の入国を禁じる」と発表した。ペルー政府も同日、全土に15日間の国家緊急事態令を布告。16日から全ての国境を封鎖するとともに、国民に不要不急の外出を禁じた。156人の感染者を抱えるチリも、18日からの国境封鎖を宣言している。
 経済破綻にあえぐ南米最貧国ベネズエラでは、13日に初感染例が確認されたが、16日までに33人に急増。強権的なマドゥロ大統領は首都と6州での「社会的集団隔離」実施を宣言し、軍を動員して市民の外出を禁じた。同国では食料や飲料水、医薬品が欠乏しており、感染が拡大すれば多くの死者が出る恐れがある。
 一方で、最多234人の感染者が出ているブラジルは、周辺国に比べると政府の危機感は薄い。入国者に自主的な隔離を要請しているものの、「国境封鎖に法的根拠はない」(ボルソナロ大統領)として他国のように厳しい入国制限は設けていない。
 ボルソナロ氏は側近に何人も感染者が出ているものの、不特定多数の支持者らとの握手を続行。経済を重視して、自治体が進めるスポーツやイベント自粛の対策を「ヒステリックだ」と切り捨て、物議を醸している。 (C)時事通信社