新型コロナウイルスの影響で深刻な打撃を受けているホテル業界。宿泊客が激減する中、一部のホテルでは空いた客室をテレワークやライトアップに利用するなど、逆転のアイデアで苦境を乗り越えようとする動きが出始めている。
 神奈川県箱根町で旅館を展開する「一の湯」は、「まじでコロナウイルス勘弁してくださいプラン」を打ち出した。5、6月の平日限定で、1泊1万6500円相当のプランを3900円で販売。中長期的な客足回復を狙った採算度外視の企画で、700件分の予約が2週間で完売したという。
 東京・本郷の旅館、鳳明館の「文豪缶詰プラン」は、部屋に閉じこもり、編集者役のスタッフに催促を受けながら仕事に専念できるユニークなサービス。「缶詰め状態なら感染のリスクも低い」という着想から企画し、特設サイトで予約を受け付けたところ、5時間程度で売り切れた。
 客室稼働率が例年の4分の1に減った神戸ポートピアホテル(神戸市)は、空室を使ってホテルをハート形にライトアップするイベントを9~12日に実施した。「暗いニュースが続くが、少しでも温かい気持ちを届けよう」と発案。宿泊者増を当て込んだ企画ではなかったが、「元気になった」「感染が終息したら必ず泊まりに行く」とメッセージが届くなど、好評だった。
 旅行予約サービス「楽天トラベル」によると、感染拡大以降、首都圏を中心にホテルの日帰り利用が増加。テレワーク用のオフィスとして使われているとみられ、格安で1日利用できる「テレワーク応援プラン」を提供するホテルも増えた。同社の担当者は「自粛が広がる中、ホテル側は旅行以外の需要の開拓が鍵だと考え、工夫を凝らしている」と話した。 (C)時事通信社