新型コロナウイルス感染の有無を短時間で判定できる検査試薬の開発が急ピッチで進んでいる。近く出荷が始まれば、迅速な検査が可能になりそうだ。実用化に1年かかるとされる治療薬や予防ワクチンの開発に乗り出す企業も相次いでいる。
 現在主流のPCR検査はコロナ遺伝子を増幅させて検出する仕組みだ。保健所や専門外来で必要と判断されると、都道府県所管の衛生研究所などで実施する。喉などの粘膜を採取し、結果判定まで4~6時間かかる。1日にできる検査を増やすには時間短縮が大きな課題だ。
 島津製作所は結果判定を約1時間に縮める試薬の開発を急いでおり、月内にも民間検査機関など向けに出荷が始まる見通しだ。公的医療保険が適用されるPCR検査は当面、自己負担なく受けられる。四方正光・遺伝子解析グループ長は「検査時間を短くできないかという要望に技術で応えたい」と話す。
 繊維大手クラボウは提携先の中国試薬大手が開発したキットの輸入販売を始めた。保険適用外だが、陽性なら15分で赤い線が2本浮かび上がる。
 新型コロナで承認された予防ワクチンや治療薬はまだなく、米国立衛生研究所(NIH)が製薬会社と共同でワクチンの臨床試験を始めたばかり。田辺三菱製薬のカナダ子会社メディカゴはこのほど、ワクチン開発の第一歩となる「植物由来ウイルス様粒子」の作製に成功。8月までの臨床試験開始を目指す。
 治療薬では、武田薬品工業が血液製剤の一種である血漿(けっしょう)分画製剤の開発に着手。インフルエンザ薬「ファビピラビル」に関しては、中国当局が有効性を臨床研究で確認したと発表して注目を浴びた。富士フイルムホールディングス傘下の富士フイルム富山化学(東京)が開発した薬「アビガン」の一般名として知られ、日本では医師の判断に従いコロナ治療に使われ始めた。ただ、副作用のリスクがあり、妊婦には投与できず、軽症者らが広く使える段階にはない。 (C)時事通信社