【サンパウロ時事】新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に行事が中止・延期される中、南米のブラジルでは国民最大の娯楽であるテレビにも自粛ムードが広がっている。国民の大多数がチャンネルを合わせる地上波民放「グロボ」では、ドラマやバラエティー番組の順次打ち切りを決定。代わりにニュース番組の時間を増やしている。
 グロボは16日、「スタッフや出演者の安全が最優先」として放送中の新作ドラマの打ち切りや短縮、バラエティーやスポーツ番組の中断を発表した。ドラマは再放送などに差し替えられる。午前4時から午後3時までをニュース主体とし、新番組「コロナウイルスとの戦い」を立ち上げ、情報発信に努める。
 15日に放送された人気バラエティー「ドミンガォン・ド・ファウスタォン」は、番組に花を添える女性ダンサーと観客を排除。空っぽの巨大スタジオで番組を進行したホストのファウスト・シウバ氏は「31年の番組の歴史で無観客は初めて」と戸惑いを隠さなかった。
 グロボに倣うように「SBT」「ヘコルTV」の2局も17日に自粛策を表明。「TVバンデイランチス」も番組調整を検討中という。
 もっとも、プロサッカーはシーズン途中で中断され、商業施設も閉まる中で暇を持てあます国民が出てくるのは必至。サンパウロ州内陸部在住の無職マリア・ピントさん(69)は「感染防止のため外出もできず、楽しみにしているドラマも見られなくなる。どうすればいいのか」と嘆いている。
 ブラジルではこれまでに中南米最多の621人が感染、7人が死亡している。ボルソナロ大統領は19日、「3~4カ月後には感染ピークが過ぎ、6~7カ月後にはブラジルは通常に戻ると期待している」と発言。当面自粛ムードは続く可能性がある。 (C)時事通信社