【ロンドン時事】1月に欧州連合(EU)を離脱した英国とEUの自由貿易協定(FTA)交渉で、双方の交渉トップが新型コロナウイルスへの感染や感染の疑いで相次ぎ隔離を余儀なくされる事態となった。年内のFTA発効という目標達成に暗雲が立ち込めている。
 EUのバルニエ首席交渉官は19日、「新型コロナウイルスの検査で陽性だった」と公表。「調子は良いし、元気だ」と懸念払拭(ふっしょく)に努めた。しかし、翌20日には英国のフロスト首席交渉官が感染を疑われる軽度の症状を訴え、自宅で自主隔離を始めたことが明らかになった。
 交渉は2日に火ぶたが切られた。通常、FTAは妥結までに数年かかる。英EUは一刻の猶予も許されない状況だが、18~20日に計画した第2回会合は新型コロナウイルスの影響で中止に追い込まれた。双方の交渉官も隔離されるに至り、年内のFTA発効は「もう不可能だ」(英紙記者)と悲観論が広がりつつある。
 英国は離脱後も、EU加盟国並みの状態を保つ「移行期間」が年末まで続く。この期間内にFTAをまとめなければ、英EU間の貿易に関税などの障壁が復活し、「合意なき離脱」に匹敵する規模の大きな混乱が生じる可能性がある。欧州は新型コロナウイルスと2重の深刻なショックに見舞われかねない。
 ただ、交渉決裂も辞さないジョンソン英首相は18日の会見で、移行期間の延長をEUに要請しないと断言。19日には「今後12週間で(ウイルス感染拡大の)流れを変える」とも豪語し、強気の姿勢を貫いている。 (C)時事通信社