【ワシントン時事】新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、各国・地域が検討している財政出動額が200兆円超と金融危機当時を上回り、年間で史上最大規模に膨らむ見込みだ。日米欧や中国の巨大経済圏でヒト・モノ・カネの流れが滞る前例のない事態に発展し、景気後退が現実味を帯びる。ただ、感染拡大の収束が見えない中、景気刺激策の効果に疑問もつきまとう。
 「今までの発想にとらわれない対策を取る」。安倍晋三首相は政策総動員で危機に立ち向かう姿勢を示した。政府・与党は30兆円規模の経済対策を視野に入れ、企業減税や消費税率の引き下げも否定しない。西村康稔経済財政担当相は日本経済に与える影響について「リーマン・ショック並みか、それ以上かもしれない」と、大規模な対策の必要性を訴えた。
 トランプ米大統領は歴代政権を上回る1兆ドル(約110兆円)超の対策を提案。中国も数兆元(数十兆円)規模を計画中と伝わる。財政規律に固執していたドイツのメルケル首相は「必要なことは何でもする」と、柔軟姿勢に転じた。欧州連合(EU)による370億ユーロ(約4兆円)相当の対策とは別に、域内主要国が財政出動に乗り出す。
 日米欧と中国などによる20カ国・地域(G20)が検討しているコロナ対策の規模は、リーマン・ショック翌年の2009年の9000億ドル(約100兆円)を超えるのは確実だ。スイス金融大手UBSのエコノミストは世界の財政出動総額が今年、年間で最大となり、合わせた国内総生産(GDP)に占める割合が2%前後と、09年(1.7%)を上回ると予想する。
 日米や韓国は国民への現金給付にまで踏み込むが、治療薬のない未知の感染症だけに不安は根強く、消費に回らず効果は限られるとの見方も多い。国連貿易開発会議(UNCTAD)は「金融以外にも幅広い業種で失業者が生まれる」と警告、世界経済の損失額は1兆ドル(約110兆円)を大幅に超えると分析している。
 ウイルス発生源に関する米中のさや当て、ドイツ企業が開発中のワクチンをめぐる米独の争奪戦など大国間の不協和音が目立つ中、G20首脳は近く緊急のテレビ電話協議を行う。難局打開に向け、各国の結束が改めて問われている。 (C)時事通信社