【北京時事】中国政府は22日、世界的な新型コロナウイルス感染が始まった湖北省武漢市で新たに確認された感染者が4日連続で「ゼロ」だったと発表した。ただ、中国ではウイルス検査で陽性であっても、発熱やせきなどの症状がなければ「感染者」として扱われていない。政府統計そのものへの不信感もあり、市民の不安は根強い。
 中国国家衛生健康委員会は2月14日の記者会見で、「無症状の感染者は病原体を広げる確率は低い」と説明し、検査で陽性であっても発熱やせきのような症状がなければ感染者として発表しないという基準を明らかにした。だが、この判断基準をめぐり、現場では混乱が起きている。
 武漢市※口区(※石へんに喬)の今月20日付の発表によると、同区内の社区(町内会)で19日夜、新型ウイルスの「新たな感染者」が確認されたことを伝える「重要通知」が出された。※口区が調べたところ、住民の男性(62)が19日の検査で陽性反応が出て入院していた。男性は発熱やせきなどの症状がないため政府基準の「感染者」に該当しないが、社区が誤って「通知」を出した。男性は20日の検査では陰性だったという。
 新型ウイルスは、検査で一定の誤判定がある一方、潜伏期間中にも感染力があるとされている。日本の厚生労働省は検査で陽性であれば無症状でも「無症状病原体保有者」として感染者に含めて公表している。中国版ツイッター「微博」には「無症状でも感染者ならうつすの? 怖い」と書き込まれた。
 また、新規の感染者が意図的に隠蔽(いんぺい)されている恐れもある。北京大の姚洋国家発展研究院長は最近公表した論文で「地方当局者は『新たな感染者を1人でも出せば処分する』という指令を受けている」と指摘した。中国では目標達成を装うために統計が改ざんされるケースがあるとされ、感染者の発表についても不透明感がぬぐえないのが実態だ。 (C)時事通信社