新型コロナウイルスの感染者に、保健所が発症前後の行動などを尋ねる「積極的疫学調査」。感染拡大防止に重要な役割を果たす一方で、調査で秘密の副業や旅行が発覚したり、それを隠すため虚偽回答をしたりするケースも起きた。感染防止と個人のプライバシーをどう両立すべきか課題も出ている。
 山梨県は8日、2日前に感染が確認された県内の60代男性会社員が、発症後にコンビニで勤務していたことを保健所の調査に一時隠していたと発表した。コンビニ勤務は夜間の副業で、男性は「本業があり言いにくかった」と話したという。
 福島県では70代の女性教授が大学側に届け出をせず、私的にエジプト旅行をしていたことが保健所の調査で発覚。別の県では、周囲に公表していない交際相手との接触について、感染者が保健所に説明を求められるケースもあった。
 調査で感染者が質問されるのは、発症前2週間と発症以降の訪問先や行動内容、同行者などの情報だ。濃厚接触者はリスト化され、自宅待機と2週間の健康観察が求められる。ただ、調査への協力は任意で、拒否や虚偽申告への罰則はない。
 山梨県では虚偽回答の事案を受けて、「感染症対策特別チーム」を県庁内に編成。県警からの出向者も加わり、保健所の調査を支援する体制を整えた。県の担当者は「調査では体調を崩している感染者に、プライベートなことも質問しなくてはいけない。任意であることを大前提に、信頼関係を築いて協力を求めていく」と話している。 (C)時事通信社