【台北時事】世界的な感染拡大が続く新型コロナウイルスで、台湾は中国人の入境を早期に禁止するなど初動が奏功し、爆発的な感染拡大の封じ込めに成功した。しかし、ここに来て海外ルートによる感染者急増という思わぬ試練に直面。戦いは次の局面に入っている。
 ◇SARSの教訓
 台湾は2月上旬までに全ての中国人の入境を原則的に禁止し、海外渡航も順次制限した。学校の春節(旧正月)休みを2週間延長したほか、供給不足に陥ったマスクを配給制にするなど、世界に先駆けた対策を次々と打ち出した。
 台湾の衛生福利部疾病管制署(CDC)によると、2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)では73人が犠牲になった。この時の経験を、初動の段階で十分に生かした格好だ。
 SARSは03年7月、最後まで残っていた台湾の感染地域指定が解除され、世界保健機関(WHO)が「制圧宣言」を行った。台湾が最後まで残ったのは「一つの中国」にこだわる中国の圧力で台湾がWHOから排除されていることが理由の一つと考えられ、台湾の感染症に対する危機意識を一段階強いものにしている。
 新型コロナウイルスに関しては、台湾の22日時点の感染者数は死者2人を含め累計169人。3月中旬までは50人台で推移していた。
 ◇買い占め、デマ
 しかし、最近になって海外から戻った旅行者や留学生の感染が相次いで確認され、18日には100人に達した。SARSよりも地球規模に感染が拡大し、3月に入り「中国以外の海外ルート」からの感染リスクが意識されるようになると、台湾社会も動揺し始めた。
 18日以降「台湾でも都市が封鎖される」とうわさが流れ、保存食やトイレットペーパーなどの買い占めが目立つようになった。蔡英文総統は「生活必需品の在庫は十分で、買い占めや備蓄をする必要はない」と訴えている。
 不安心理に付け込み「政府が日本に1000万枚のマスクを寄付した」といった出どころ不明の情報もネット上に流れた。外交部(外務省)は22日、「全くのデマだ」と火消しの声明を出した。
 ◇14日間がカギ
 「感染防止策は第2段階に入った。向こう14日間がカギを握る。われわれは一段と強い決心で試練に立ち向う必要がある」。蔡総統は19日、台北の総統府で記者会見し、台湾社会に呼び掛けた。
 中国以外の海外ルートを封じるため、台湾政府は21日から海外渡航を全面的に禁止。海外からの入境も大幅に制限する「鎖国」状態に入った。
 今月中旬までに欧米などから台湾に戻った人を対象とした感染者洗い出しも急いでいる。対策はこれからが正念場になりそうだ。 (C)時事通信社