【ロンドン時事】新型コロナウイルスによる死者が増え続ける欧州で、感染拡大阻止のため各国で外出規制が広がっている。戦争でもない事態で突然、行動の自由を失った。人々の当惑は深い。各国政府は連日、必要性への理解を訴えているが、先が見えない。長期化が見込まれ疲労感も漂い始めた。欧州は危機を乗り切れるのか。
 ◇心躍る季節
 英国ではジョンソン首相が「家にいてほしい」と呼び掛け、20日から飲食店や娯楽施設が閉鎖された。長い冬を終えようやく春を迎えた英国で、週末は青天だったが、心躍る季節に自宅で大半の時間をつぶすことを余儀なくされた。
 耐えきれず、家の近くの公園で散歩する人も目立った。かえって人が集まるようになってしまったロンドンの一部の公園は、近く閉鎖される。住民たちは不満や不安を抱え「何をしたらいいのか」「子供を遊ばせる場所がない」と嘆いている。
 死者が5000人を超えたイタリアでは、英国よりさらに厳格な外出禁止措置が全土で実施されている。21日から国内全ての公園も封鎖された。
 もはや自宅にこもる以外何もできない。3月初旬に英国から伊中部フィレンツェに渡った男性は取材に対し、携帯電話のテキストメッセージで「いつここを出られるのか分からない。ひどい状況だ」と不安を訴えた。
 不要不急の外出を禁じられたフランスも似たような光景が広がる。パリのセーヌ川沿いでは、市民が散策しないよう警察が見張っている。
 ◇人とつながれ
 こうした状況が心の健康に悪影響を及ぼす事態が懸念され始めた。人との関係が絶たれ孤独感を覚えたり、不安感が増したりして、うつ病など「心の病」につながる恐れが指摘される。
 自宅にとどまっている時間をストレスに変えないためにどうすればいいか。英国の専門家は「電話などで人とのつながりを保ち、これまでと同じ暮らしのリズムに沿った生活を送るよう努めることが大切」と呼び掛けている。
 英国営医療制度「国民保健サービス(NHS)」も、ストレス対策として(1)電話やネットで家族や友人と話す(2)状況が許す限り運動する(3)うわさを避け情報を選ぶ―ことを提唱した。不安が社会を覆う中、長期戦への備えが必要だ。 (C)時事通信社