【ワシントン時事】トランプ米大統領は27日、新型コロナウイルスの感染拡大に対応した2兆2000億ドル(約237兆円)規模の経済対策法案に署名、同法が成立した。米史上最大の景気浮揚策となるが、景気後退入りが濃厚な世界経済を底上げするほどの力はなく、市場の不安も拭えないままだ。追加対策なしでは、戦後最悪の危機を乗り切る突破口は開けそうもない。
 「米経済は爆発的に上向く」。トランプ大統領は米国内総生産(GDP)の約10%に相当する大型対策を自賛した。目玉の一つは大企業支援や中小企業融資。2008年のリーマン・ショック当時に比べて金融機関の体力が強化されている一方、民間企業は借り入れに一段と依存しており、破綻リスクは08年より幅広い業種に広がっている。
 GDP、失業率、株価下落幅―。これら米国のデータは今年上半期に「戦後最悪の水準」(エコノミスト)を記録する恐れがある。秋の大統領選を見据えるトランプ氏には、巨額対策を講じたことを口実に、自粛を指示した経済活動を早期に再開させる思惑もありそうだ。拙速な再開は感染者の一層の増加を招きかねず、「選挙対策」(野党民主党のペロシ下院議長)とやゆする声も出ている。
 トランプ政権が内向き志向を強める中、医療物資不足に陥った他国も貿易制限に動いている。1930年代の世界恐慌ではインフラ投資を推進した米国のニューディール政策、リーマン危機後には中国が成長を後押しした。だが、国連貿易開発会議(UNCTAD)は「今回はけん引役が不在」と指摘し、各国の利害を超えた結束を呼び掛けている。 (C)時事通信社