日本では新型コロナウイルスの感染爆発が懸念される首都圏などの自治体で28日、週末の外出自粛が始まったが、事態がはるかに深刻な米国や欧州などの世界の大都市では、既に外出の原則禁止など一層厳しい規制が敷かれている。それぞれの国の事情に応じて当局があの手この手で規則を守らせようと腐心する一方、市民は規制に理解を示しつつも、ストレスや面倒が多い窮屈な生活を強いられている。
 ◇バスケ禁止でリング撤去=NY
 米ニューヨーク州では22日夜から不要不急の外出が規制された。連日増え続ける感染者数に市民の危機感も高まっており、おおむね規制は守られている。ただ、公園はしばしば混雑。他人との距離が近くなるバスケットボールをする人も後を絶たなかった。同居者以外とのバスケはすぐ禁止になったが、違反が続き、市は最近、バスケのリングを撤去する強硬措置に出た。リングのないバスケコート内は、家族連れや縄跳びをする女性の姿だけがあった。
 市民は外出時に他者と6フィート(約1.8メートル)離れるよう求められており、散歩する人が増える中、州は27日、試験的に車道を歩行者に開放し始めた。
 一方、地下鉄や駅は閑散。ターミナルのグランドセントラル駅から帰宅する途中だった理学療法士の女性(27)は「周りに直接影響を受けた人がいないせいか、まだ強い実感が湧かない。問題を深刻に捉えてないわけじゃないけど。SFみたいよね」と話していた。
 ◇立ち話にも警官注意=パリ
 フランスでは17日に外出禁止令が発動され、不要不急の外出が禁止された。一方、「適度な運動」は許可されたため、発動後の週末、パリのセーヌ川沿いなどは普段通りジョギングや散歩をする人でにぎわった。
 これを受け、政府は運動目的の外出を1日1回1時間、自宅から1キロ圏内で1人で行うよう限定。住所や外出目的・時間を記した証明書の携帯が義務付けられ、違反者には罰金が科される。記者はジョギング中に知人に出くわし、立ち話を始めたところ警官が飛んで来て証明書の提示を求められ、「立ち止まってはいけない」と諭された。
 家族以外の他者との接触が遮断される中、医療従事者の献身に敬意を表そうと、毎日午後8時に住民が窓から拍手を送る運動が広がっている。パリ市内のある男性はこの時間、ベランダでギターの弾き語りも披露。「1人暮らしで心細い思いをしている人たちにも届けたい」と語った。
 ◇座り込むな運動せよ=ロンドン
 英国では23日から全土で外出が禁じられた。食料や薬などの必要最低限の買い物、1日1回の運動、在宅勤務困難な場合の出勤などで例外が認められている。首都ロンドンでは市民の多くがルールを守っている印象で、張りつめた空気はない。
 27日、首都西部の市街地で軒を連ねる大手スーパー3店舗の入り口では、客同士が互いに2メートルほどの距離を置き、入店待ちの列をつくっていた。店内の混雑を避けるため、一度に入店する客の数を制限している。
 広大な緑地を誇る中心部の公園ハイドパークでは、ジョギングや散歩を楽しむ人が少なくなかったが、警官が巡回。ベンチで読書中の子供連れの女性らに「外出してただ座っているのは違反行為。歩くなり運動を」と再三、注意していた。違反者には原則、罰金60ポンド(約8000円)が科される。
 ◇団地入り口に「関所」=北京
 中国の北京市では新規感染者が減少した今、人や車の移動は徐々に増えつつある。ただ、食堂では大勢での会食が禁じられ、一つのテーブルに1~2人になるように椅子を再配置。4月上旬の墓参りシーズンを前に墓地の入場制限が行われるなど平常への復旧には遠い。
 市政府は外部からの感染者流入に神経をとがらせており、外国や市外から来た人に14日間の隔離を義務付けている。都心のマンション管理者は、海外から帰った住民に「自宅のドアから一歩も出るな」と警告。隔離中の住民のカードキーは使えなくなり、外出すれば再度入れない。
 市内の団地や路地の入り口には「関所」が設けられ、係員が出入りを見張る。帰省先から戻り、家族と共に隔離された女性は「外出できずストレスがたまり、家族の口げんかが増えた」と訴えた。
 ◇金曜礼拝のモスクも封鎖=カイロ
 中東で人口最多のエジプトでは、午後7時から翌朝6時まで外出が禁止。違反者には罰金4000エジプトポンド(約2万7500円)のほか、最悪の場合は禁錮刑となる。また、集団感染が懸念されるモスク(イスラム礼拝所)も封鎖。普段は金曜礼拝がある27日昼に訪れると、扉は閉ざされ人影は全くなかった。
 観光立国のエジプトだが、国際航空便の運航が停止され、外国人訪問客の激減で経済の悪化は必至。それでも、ホテル従業員サラさん(24)は「政府の対策は不十分。外出禁止はさらに延長した方がよい」と話し、規制強化を支持する声が大勢のようだ。 (C)時事通信社