滋賀県東近江市(旧湖東町)の湖東記念病院で2003年に死亡した男性患者=当時(72)=に対する殺人罪で、懲役12年が確定し服役した元看護助手西山美香さん(40)の再審判決が31日、大津地裁である。無罪が言い渡される見通しだが、西山さんは「自白は信用できないという真っ白な判決を出してほしい」と求める。
 判決を前に両親と共に取材に応じた西山さんは、警察の取り調べで殺害を「自白」した理由を、「刑事は私の弱みを突いてきて、言われるままに従ってしまった。取り調べが嫌になり、この人の言うことを聞いたら楽になると思った」と説明した。井戸謙一弁護団長は「事件の本質は供述弱者への取り調べだ。うその自白をさせて冤罪(えんざい)にした」と憤る。
 両親にとっても判決まで道のりは険しかった。父輝男さん(78)は「重い裁判記録を持ち歩いて再審を引き受けてくれる弁護士を探したが、10人以上に断られた。『冤罪だが、難しい』と言われた」と再審請求の難しさを吐露する。
 母令子さん(69)も「街頭で無罪を訴える署名を集めたが、当初は世間も身内も冷たかった。私たち2人だけでは信じてもらえないのかと情けない気持ちになった」と振り返る。
 有罪判決から14年以上が経過したが、西山さんは今でも有罪を言い渡された時のことを夢に見るという。「同じ被害を生まない判決であってほしい」と願う。
 両親も「もうすぐ無罪が出るなんて夢のようで信じられない」(令子さん)、「長い間の苦労が報われる判決を」(輝男さん)と待ち望む。「無罪になったら人生を取り戻して、好きなことをして過ごしてほしい」。令子さんは母として、西山さんの幸せを願った。 (C)時事通信社