【ブリュッセル時事】新型コロナウイルスまん延に伴う経済的打撃にどう対応するか、欧州連合(EU)の南北分裂が深刻化している。イタリアなどが求めたEU共通の「コロナ債」をドイツやオランダが拒否。イタリアのEU不信が強まっている。
 「この未曽有の困難に立ち向かえないなら、欧州という建物全体が存在理由を失う」。コンテ伊首相は28日付の伊紙ソレ24オレでEUの「連帯欠如」に強い不満を訴えた。
 毎日数百人規模の死者を数え影響が甚大なイタリアやスペインは「コロナ債」などと呼ぶ共通債の発行を要求。EU全体で協力して対策資金を調達すべきだと主張している。
 しかし、26日のEUテレビ首脳会議では、イタリアなど南欧各国の財政規律の緩みを懸念するドイツやオランダが反対。債務危機対策基金「欧州安定機構(ESM)」活用でも折り合えず結論を持ち越した。
 伊各紙は「醜い欧州」(レプブリカ)、「合意しなければ欧州の計画は終わり」(コリエレ・デラ・セラ)と一斉に非難、失望が広がった。昨年まで連立政権の一角だった極右政党「同盟」のサルビーニ前内相は「必要なら(EUに)別れを告げる」とEU離脱論に踏み込んだ。
 一方、オランダのルッテ首相は「他の多くの国も反対している」と主張。コロナ債は、経済的に裕福な北部の国々が南欧の借金を肩代わりする財政移転につながり「一線を越える」と譲らない。
 しかし、オランダ政府の姿勢には、ポルトガルのコスタ首相が「EUの精神を損ねる」と反発。フランスのマクロン大統領も「連帯なしにこの危機は乗り切れない」と諭している。
 欧州経済の南北格差は、過去の債務危機で表面化。問題点は繰り返し議論されてきた。解決できないでいた課題が、ここへ来てまた噴き出した。
 亀裂が深まる中、フォンデアライエン欧州委員長は28日夜、EUの次期中期予算(2021~27年)に新たな経済対策を盛り込むことを急きょ提案した。ただ、事態打開につながるかは不透明だ。 (C)時事通信社