【パリ時事】新型コロナウイルスの感染拡大を受け、フランスでもマスク不足が続いている。政府は「感染防止には意味がない」と主張するが、国民は「欺瞞(ぎまん)だ。危機管理不足をごまかそうとしている」と不信感を募らせる。一部の医療従事者はアジアの例を挙げ、マスク着用の効果を訴えている。
 29日付のジュルナル・デュ・ディマンシュ紙が報じた世論調査によると、政府の新型コロナ対策について「信頼しない」との回答は56%で、「信頼する」の44%を上回った。
 政府は3月上旬、医療従事者やウイルス感染者に優先供給するため、マスクの徴用を開始。一般市民は処方箋がなければ購入できないが、店頭でも売り切れが続く。仏メディアは「感染の懸念があるのにマスクがどこにも売っていない」と嘆く市民の声を伝えている。
 一方、政府幹部は「マスクは感染者が周囲に感染を広げないために効果がある。自身のウイルス感染を防ぐ効果はない」と強調。普段の生活でマスクを着用する必要はないと述べ、混乱に陥らないよう呼び掛けた。
 これに対し、医療従事者らは仏紙パリジャンに寄稿した公開書簡で「政府の主張は誤りだ」と糾弾。「東南アジアの国々はマスク着用を普及させ、外出禁止措置なしに感染拡大を抑えた」と指摘し、国民にマスクが行き渡るよう早急な対応を政府に求めた。 (C)時事通信社