【ソウル時事】北朝鮮で新型コロナウイルスの感染が拡散し、多数の死者が出ているもようだ。北朝鮮消息筋は、感染によるとみられる死者が260人以上に達したとの情報を明らかにした。死者のうち多くが軍部隊で発生したとの推定もあるほか、首都・平壌でも死者が出ているという。
 北朝鮮は中国で感染者が増え始めた1月下旬から国境を事実上封鎖し、入国者に対しても厳格な防疫措置を取っている。しかし対中国国境に近い地域から感染が次第に拡大し、全国に拡散しているもようだ。ウイルスの検査態勢が不十分なため、感染が確認された患者は一部にすぎないが、医師が患者の症状などで判断し、1万6000人以上が隔離されているという。
 平壌でも感染によるとみられる死者数人が発生し、約1300人を隔離。平安北道で10人以上、平安南道で30人以上が死亡したとされる。全体の死者のうち、死亡地域が不詳の180人程度の多くが軍部隊兵士と推定され、同筋は「国境警備の兵士が中国人らとの接触で感染し、部隊で拡大したと推測している」と語った。
 しかし、北朝鮮は公式には感染者や死者について明らかにしていない。朝鮮中央通信は3月27日に外国から戻ったり、症状があったりして隔離措置が取られている「医学的監視対象者」が全国で2280人いると伝えている。
 ソウルに居住する脱北者の女性は北朝鮮からの情報として「各地で死亡者が出ており、住民の間で不安感も広がっている」と指摘した。医療体制が貧弱な北朝鮮でさらに感染が拡大すれば、社会の不安定化につながる可能性もある。 (C)時事通信社