【ワシントン時事】新型コロナウイルスの感染拡大が、アジア太平洋地域における米軍の活動にも影を落とし始めた。空母「セオドア・ルーズベルト」で感染者が150~200人に達したとの情報があり、艦長は乗組員の大半を陸上で隔離すべきだと主張。米軍の海外展開能力の一翼を担う同空母は、機能不全の危機に陥っている。
 「感染は現在進行形で急速に拡大している」。ルーズベルトのクロジャー艦長は米軍幹部に宛てた3月30日付の文書で、悲痛な叫びを上げた。
 フィリピン海に展開していた同空母では同月24日、乗組員3人が検査で陽性反応を示したことが判明。その後、米領グアムの海軍基地に向かったものの、兵士ら4000人以上が寝起きする艦内で感染は広がり続けた。
 米軍幹部は正確な感染者数を公表せず、全員軽症だと強調する。だが、同空母の窮状は明らかだ。クロジャー艦長は「いま行動を起こさなければ、兵士という最も信頼できる資産を守れない」と述べ、一刻も早く陸上施設で乗組員の大半を隔離するよう訴えている。
 また、FOXニュースによると、横須賀基地に停泊している空母「ロナルド・レーガン」の乗組員2人の感染が判明した。同空母はメンテナンス期間中のため、米軍の活動に即座に影響はない。ただ、アジア太平洋に展開する空母2隻が身動きが取れない状況にあることを危惧する声は少なくない。
 こうした中、アクイリノ太平洋艦隊司令官は31日、ルーズベルトが常時出動できる態勢を維持することが重要だと主張。乗組員の大半を一度に上陸させず、交代で陸上施設で隔離することを検討していると語った。
 エスパー国防長官もCBSテレビのインタビューで、米軍の即応能力低下の「懸念はない」と強調した。「何かあれば、海外に展開する米軍10万人以上に警戒態勢を取らせる」とも述べ、中国や北朝鮮などへの抑止力を維持しているとの見解を示した。 (C)時事通信社